西海岸からの訪米は、原油依存体質からの脱却、イノベーションの推進を掲げる政権の意向を反映したものといえる。ロシア政府はモスクワ郊外に加州シリコンバレーのような先端産業の集積地「スコルコヴォ」を設置する計画で、23日行われる本場視察ではノウハウを吸収したい。心臓部にあたるスタンフォード大学も訪れる。
スコルコヴォの設置事業では、大統領が監査役会のトップを務め、ロシアの投資会社「レノヴァ」のヴェクセルベルグ総裁と米インテルのバレット元最高経営責任者がトップを務める。今回大統領はチェンバース会長がスコルコヴォ運営基金の一員に加わっている通信機器大手シスコシステムズを訪問する。
メドヴェージェフ大統領を迎えたシュワルツネッガー加州知事は、ロシアの構想を支援する姿勢を示した。
「スコルコヴォの建設で、米国企業はロシア側を支援できるだろう。生産的な協力となり、双方に利益をもたらす。ロシアは技術先進国の有力な一角を占める資格のある国だ。非常に能力の高い人々が暮らしている。」
外資の支援はもちろん必要だ。一方でメドヴェージェフ大統領は、数万人に及ぶとされるシリコンバレー在住のロシア人研究者も引き込んでいきたい意向だ。バレーで活動するロシア系研究者をまとめる団体組織AMBARのスタス・ヒルマン氏は、スコルコヴォが米国でも大きな関心を呼んでいると語る。
「我々の知識がこちらでも向こうでも通用するか、我々の結びつきを活用できるか、というのは当然の望みだ。それは他人を助けるということではなく、ビジネスの文脈においてである。
我々は10~30年の間に、ある意味でシリコンバレー産となったが、一方でロシア語も話し、その方面ではアメリカ人よりも理解が早い。我々は橋になりたいと思っているし、そうした存在は今求められているのではないか。だからシリコンバレーに暮らすロシア系の間ではスコルコヴォへの関心が非常に大きいのだ。」
最終目標は大規模な研究開発拠点の創設ではない。どのような商用化が可能か、いかに利益を得るかという点にロシア側は関心を寄せている。研究・投資の双方において良好な環境をつくるため、税制面での優遇措置、個別の治安維持、商標・特許・知的所有権保護の枠組みも整備する。
今回の訪問には、ヴェクセルベルグ氏のほか、ロシアの大手ハイテク企業の代表が大挙して随行した。シスコをはじめ、検索大手のグーグル(シュミットCEOがスコルコヴォ運営基金の理事)、アップル、ツイッターなどの現地企業と会談し、スコルコヴォを巡る協力へとつなげていく。
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