ロシア議会上院(連邦会議)のヴァレンチナ・マトヴィエンコ議長は、「クリル諸島問題をドラマティックに煽り立てるのではなく、露日関係の頭に置くべきではない」とする考えを示した。マトヴィエンコ議長は現在日本で開かれているアジア太平洋議員フォーラムに参加している。
日本およびロシアの記者団らの質問に答えたマトヴィエンコ議長は、「すべての人が自らの見方を変更し、偏見から脱却しなくてはならない」との考えを示し、領土問題の解決は、ロシアと日本の利益になるだけではなく、アジア太平洋地域全体の利益になるものであると指摘した。他方、問題の早期の解決はいまのところあり得ない、とも述べている。
ロシアのイーゴリ・ロガチェフ上院議員は、今回マトヴィエンコ議長を団長とする議員代表団が日本を訪問したことは、重要な出来事であると指摘し、次のように述べている。
―マトヴィエンコ議長は、ドミトリー・メドヴェージェフ大統領から日本の野田佳彦首相に宛てた親書を持ってきました。それは重要な印であり、露日関係の更なる拡大を促すことになればと期待しています。その親書のなかではロシアと日本の協力における可能な道筋が示されています。
野田首相との会談の際に主要なテーマとなったのは、昨年12月に国会が原子力協力合意を批准したことだ。その合意のなかでは、原子力施設の安全確保に関する共同措置が取り決められている。
昨年の福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電の将来については多くの議論が巻き起こっている。これに関して、マトヴィエンコ議長は、「いまや熱狂がさめ、原発に代わるものはないという理解が広がっているが、原発の安全性については強化することが不可欠だ」と指摘している。
現在ロシア外務省付属モスクワ国立国際関係大学の教授で、元日本大使のアレクサンドル・パノフ氏は次のように述べている。
―マトヴィエンコ議長の日本訪問は、露日の議員関係を発展させるためのよいスタートとなります。日本では現在、その重要性を理解している人々が多くいます。1週間後にはモスクワに日本の議員代表団がやってきます。ロシアでは最近議会下院(国家会議)の選挙が行われたため、まずはその新しいメンバーとの顔合わせとなります。昨年末には日本でロシアとの議員関係を発展させるためのグループが作られました。それは超党派で人びとをまとめるものです。ロシアの議会のなかでも、日本の議員たちとの協力をすすめるグループが作られるでしょう。私が10月に日本を訪問した際には、多くの人が積極的にロシアとの接触拡大を支持していました。
またマトヴィエンコ議長はサンクト・ペテルブルグの市長時代には、日本との経済関係の推進に努め、2010年にはペテルブルグと日本との貿易は2.4倍となった。今年はさらに2倍近くの伸びが期待されている。
マトヴィエンコ議長は、ロシアが外交方針をアジアにシフトしたとの確信を示しており、地域間での協力発展も期待されている。
記事を評価する: